食虫植物の集いin浜田山

4月22日浜田山の様子
参加者33名!

展示品の解説(中藤氏)

展示品の解説(若林氏)

D.graomogorensis(菊島氏)

P.moctezmae×hemiepiphytica 新谷氏作

P.primuliflora八重咲(中村氏)

歓談中!

2001年4月浜田山集会リポート

「次の浜田山も暴れまくるで!」
毎日、浜田山集会の何日か前になると、メールのやり取りにこんな言葉が記される。とはいえ、別に酔っ払った主宰殿が酒ビンを振りかざして狂さんを追いかけまわしたり、逆上して火を噴いたりするわけではない(当たり前である。第一、そりゃ何の集会だ?)。
至って和やかな、のんびりとした「お花の会」である。ついでに言うと虫を食べる会でもないし、浜田山という山に登る会でもない。即売の時はエキサイトするが、まぁ呑気な食虫好きと、それにとどまらない植物(にすらとどまらない気もするが)愛好家の集まりといってもいいだろう。

何時ものように伊勢丹屋上の園芸売場にやってくると、主宰殿こと田辺氏と宮本氏がいるではないか。宮本氏のことは、今更説明する迄もないだろう。海外臼生地探険では、世界にも誇れるほどの実績を残したスペシャリストである。今回は、オーストラリアとジンバブエの自生地を探査するそうだ。それと、彼のライフワークの一つに、彼が採集してきたものや知人を介して入手した珍種植物をTC(無菌培地)で繁殖させる、という試みを行なっている。今回はそれらの苗も大量に持参していた。伊勢丹にも卸していた。「これで、遠征の費用も幾らか賄っちゃつたから、もう帰るなんて言うんじゃない?」「何時もヒッチハイク(嘘。夜行バスで来るそうです)だから、今日は飛行機で帰るよ」などと私と主宰殿は相変わらずの会話。宮本氏は、「飛行機なんか使うかいな〜」と苦笑いしている。また、売り物の所に生水ゴケがあり、「関東の人は生水ゴケの入手にも苦労しとるんやなぁ」と不思議そうにしていた。関東は植物の入手は割と充実している反面、こういう基本的な「何処にでもある」はずのものが失われつつある。
車で、一路浜田山を目指す。そして、買い出しに赴くがここでちょっとショッキングな出来事が起きた。以前紹介した、早日のATMがあったコンビニが、なんとつぶれているではないか。私と宮本氏は大した問題ではないが、悲劇なのは主宰殿である。最近オープンした駅前のローソンは、アルコール類が売っていないのだ。うちひしがれた主宰殿は、アルコールを求めて娘のはなちゃんの手を引きつつ、とばとばと浜田山界限をさまようはめになった。

無事、主宰殿も命の水を手に入れ、昼食を摂り始める。何時にも増して今日は集まりが悪い。なんと、研究会の総会ともバッティングしているとかで、そちらに流れている可能性もある。まぁ、こっちの方が展示や即売も充実しているし、こっちの方が閑散とすることはない。一時を過ぎた辺りからばつばつと人が集まり始める。MLの日無氏も顔を見せた。池袋西武で、私が欲しがってたピンギの苗を買ってきてくれた。「稲穂さん好みの苗を買ってきたよ」へっ?と思ってものを確認したら、なんと一鉢は3芽立ち。「ああ、こりゃ稲穂さん好みだわ」と隣で内沢氏も笑っていた。私は、冬芽のピンギは必ず2つ買い、一つは増殖用にバラしてしまうのだ。それを私が一種の楽しみとしている事を知ってるご両人は笑っている。このネタが、後々まで引くことになるとは・・・・
今回は、自生地のスペシャリストがもう一人参加。若林氏である。だが、今回は何故か食虫モドキのサルビアなどを持参されていた。宮本氏の得意はドロセラだが、彼の手軸はフィールドワーク。ドロセラの栽培に関しては、国内最高レベルの実力を持つ藤武氏が久々に参加。貴重な珍品ドロセラを今回はなんと売品で持ってきて下さつた。
ピンギの展示は大体何時も見られるが、時期的にはアメリカンピンギがまだまだ楽しめるシーズンだ。町日の中村氏は、最近話題のprinullfloraの八重咲きと、実生から発現した自花個体、そして昔話題になったアトランタというタイプの実生品。これは、なんとなくlonanthaの面影が窺える。自花は、この段階では固定はされていないかもしれないが、実生でさまざまなタイプが出ることを改めて知らされ、その重要性を感じさせられた。また、品種はロイヤルレッドだという事だが、寸詰まりのロゼット状で、生水ゴケの中に埋もれるようにして真っ赤な口を開いたハエトリソウも強裂だった。形態としては理想の形である。
斎藤氏は、以前即売で配布されたダーリングトエアのランナーから発芽させたものを持参された。結構なサイズで、同じものを手に入れて挑戦された口無氏も、これには感心していた。それを配った主宰殿も、「あの漢方薬の材料みたいなのから、こんなに大きくなったの?」と、妙な驚き方をしていた。繁殖はおろか維持もなかなか思うようにはいかないダーリングトニアだが、増殖の一つの糸口を手にしたのは斎藤氏だけではないだろう。
でも、この発芽したダーリングトニアが大きくなる頃には、日本は梅雨を迎え、やがて暑い夏に突入する。「母さん、僕のダーリングトニア、何処に行ってしまったんでしょうねぇ?」と、口無氏に異様にウケたあの不吉な言葉通りにならない事を祈ろう。ついでに、日無氏と私は、変な所で話が合う。MLでも、何故か非食虫話を振ると待ってましたとばかりにレスを付けて下さるのが彼である。実際に会っても、やっぱり関係ない話題で盛り上がってしまう。
その口無氏が、即売品の所で若様となにやら話をしている。今日は珍品が多いので、早くも事前交渉か?と思ったら、「安過ぎる!これ以上浜値が安くなったら大変ですよ」と何だか漁業組合のデモみたいなことを言っている。どうやら若様が持ってきた即売品の値段が異様に安かったので、もう少し高くてもいいんじゃないか?という話らしい。なにしろ、値段を言う前に手を上げる人は珍しくない。私も、珍品のサラセニアやピンギを目にするとつい反応してしまうゴクドーの一人だが、自分で増殖したものだから、と、珍品なのに時折信じられない値段が付いてしまう事もある。そういうのを『浜値(浜田山価格)』という。多分来年辺りの『現代用語の基礎知識』に載る。・・・わきゃないか。まぁ、そういうものは当然競争率が高い。あとで、日無氏は浜田山の狂乱のサバイバルゲームのどつぼにはまる事になる。 今回は、栽培教室と称し、主宰殿が自らの展示品を使って食虫の増殖講座を開いた。まだ初期の頃は越川氏が裁培教室を開き、「大したもんじゃない」等の名言を数多く残し(そんなことはどうでもいいか)、内容もとても充実したものだった。今回は、我等が主宰殿の当番である。しかし、例によって例のごとく酔っ払っている。「あんたやんなさいよ」と責任をなすりつけようとしたり、困ったものだ。でも、なすりつけられたらすぐ調子に乗ってしまう私なので、日無氏と見て見ぬふりをして夢の島熱帯植物園のバンフレットにけちをつけたりしていた。ドロセラに続いて、メキンカンピンギキュラの葉挿しの話になる。
「え―、まぁ、こんな風に一枚一枚葉っぱを外していくんですが・・・・・」
うんうん、こっちに振ってこないな。よしよし。
「あんまり薬っぱを沢山外してしまうと、親株が弱るのでほどほどにして下さい」・・・・・・ん?
「中には、一枚も残さず一株全部バラしてしまうゴクドーな人がいますが、それは正当なやり方ではないのでマネしないで下さい」
言うと思った。会場は大爆笑。田無氏も腹を抱えて笑っている。
暫くして、中藤君登場。出所の怪しい、非常に珍しいネベンテスを持参してきた他、今回はピンギキュラも持ってきた。実は、出元が私の分譲品らしいのだが、もう数株に株分かれし、見事な花を10本くらい上げていた。日無氏が「稲穂さん、バラしたいでしょ?ねぇ、何株に分かれてるんだろうねぇ」などと、隣で危ない事を言っている。自分の株なら、もう有無を言わさずバラしまくっているが、まさか人様のものをやっちゃうわけにはいかない。中藤君に、「これ、もうバラさないと腐ってきちゃうよ。ついでに殖やしたら人気も出るんじゃない?」などと、しつこくいらんお節介を焼いてしまった。それにしても、いい出来である。じっくり作り込んでいる良いお手本だ。私はどうも昔から殖やす事だけしか頭にないもので、とてもかなわない。何しろ、とあるピンギを扱う山野草店で、「ここのトレーいっぱい苗をほしいって言う人はいるけど、ここのトレーの苗を全部バラしたいなんて言う客、君しかいないよ」と呆れられたくらいだ。冗談だと思われるが、マジである。もう、私の増殖癖は病気かもしれない。

展示が一通り解説し終わると、主宰殿が何やら怪しげな砂を持ち出してきた。それは、三宅島や神津島などにあるナントカという砂で、南総で使っている水苔の表面に生えたヌラを消す魔法の砂だ、という。たちまち、成分はなんですか、などと質問が飛び、主宰殿は顔がテンになっていた。しかし、そこは浜田山。様々な知識豊富な参加者が見事に主宰殿に代わって解説。その横で、はなちゃんは森さんと遊んでいた。

栽培講座も無事に終わり、即売に移る。今回は、森氏と内沢氏が本を出した。内沢氏は今や貴重なガーデンライフシリーズの本を出した。ちょうど、私より上の世代の人々の大半が、この本で食虫の世界に入ったといつても過言ではないだろう。そして、かくいう私も、ゴクドーの世界に転がり落ちたきっかけになった本である。「私は、これで道を踏み外しました」というしょうもないつっこみにもめげず、のっけから凄い盛況。口無氏は、早速負けたようだ。
そして、私の出番。増殖品のビンギを売りに出したのだが、苗がいまいちなので売れ行きはあまりよろしくない。だが、一人だけ出すものすべてに手を挙げてくれるお姉さんがいた。インターネットで見た、という話だが、中盤までは会場の独特の雰囲気に馴染めない様子だつたが、即売になると突然アドレナリンが活性化したようだ。あまりの勢いの良さに、思わず「カナブンよりもごめんなさい」等と、意味もなく謝ってしまいたくなってしまった。コーダータの苗を売りに出した時も、真っ先に大きいのをゲットされた。その迫力に圧倒された日無氏は、斑入りになるかもしれないという株を「斑入り、斑入り・・・・。」と呪いの言葉?のように咳きつつ、持っていった。 その後も、珍品続出で大いに即売は沸いたが、やっぱり口無氏は希望の品種をなかなかゲットできず、悲鳴を上げていた。かと思うと、岡さんの出した山本氏系ビカルカラータを真剣に気にしていた坪井氏は、かなりの激戦を交い潜ってなんとこれをゲットしてしまった。「想いが通じましたね?」とあとで話しかけたら、会心の笑みを浮かべて「やっぱり丸もの(ビカルやアンプラリアの事)は連れて帰らなきゃ」とガッツポーズ。そこには執念すら感じられた。
人々の悲喜こもごも、愛と哀しみの様々な人間模様が織り成すドラマの舞台(??)、浜田山集会。次回はどんなドラマが繰り広げられるのだろうか。

展示品一覧

田辺直樹
D.capensis特大株 D.graomogorensis D.esterhynsnae N.ventricosa albo-marginata P..moctezmae×hemiepiphytica
P.aganta P.ehlersae x agnata P.moranensis Flaser Beaut P.agnata x laueana CP3 早出産ムシトリスミレ

若林 浩氏
Salvia glutimosa 早出産、杉川産ムシトリスミレ U.ワーブルギー P.ヒルティフロラ 

森 肇氏
N.sanguinea

岡本直明氏
D.auriculata D.gigantea 実生苗

中村英二氏
D.rotundifolia D.hamiltonii P.primuliflora 白花 八重咲 アトランタ Dionaea royal red

佐藤光徳氏
H.minor x heterodoxa 実生4年目苗 イビセラ、プロポスキデア

中藤氏
Pinguicula多数 D.scorpioides

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